約11分 · 2026-10-22 更新

ベトナムで病院へ行くべき症状:専門知識がなくても判断できる基準

三つの箱に分けるだけで迷いは減ります。ただちに救急の症状、同じ日のうちに診てもらうべき症状、様子を見てよい症状。加えて、公立と私立の違いと、迷ったときの原則。

ベトナムの医療機関の受付で順番を待つ人たちの様子(イメージ)

海外で具合が悪くなったとき、いちばん消耗するのは症状そのものではありません。どうすべきか分からない時間です。医学の知識がなくても構いません。判断はかなりのところまで単純化できます。必要なのは症状を三つの箱に分けることだけです。

ただちに救急。同じ日のうちに診てもらう。様子を見てよい。この記事はその分け方と、ベトナムでの実際の動き方をまとめたものです。診断をするものではありません。

箱の一つめ:ただちに救急

次のいずれかがあれば、115へ電話するか最寄りの救急外来へ直行してください。ベトナムの救急番号は115です。日本の119ではありません。言葉が不安なら、ホテルのフロントやアパートの管理人に電話を頼んでください。

  • 息ができない、安静にしていても呼吸が浅く速い、唇や指先が青い
  • 胸が締めつけられるように痛む、痛みが顎や左腕、背中に広がる
  • 顔の片側が垂れる、片側の手足に力が入らない、言葉が出ない。症状が始まった時刻を記録してください
  • 意識を失った、起こしても目を覚まさない、話がかみ合わない
  • 初めてのけいれん、または止まらないけいれん
  • 押さえても止まらない出血、吐血、黒い便
  • 唇や舌が腫れ、同時に息苦しさや全身の発疹が出ている
  • 腹部の一か所に固定された激しい痛み。お腹が板のように硬い
  • 子どもで、ぐったりして反応が鈍い、押しても消えない発疹がある、水分を一切受けつけない
  • 妊娠中の出血、強い腹痛、胎動を感じなくなった

この箱に入る症状には共通点があります。時間そのものが治療になることです。脳の血管が詰まった場合、心臓の血管が詰まった場合、重いアレルギー反応、大量の出血。どれも、誰かが来るのを待つことが損になります。移動の手間を惜しむ場面ではない。

箱の二つめ:同じ日のうちに診てもらう

救急ではないけれど、翌朝まで置く話でもない。ここがいちばん判断に迷う領域です。実際に困る人が多いのもここです。

  • 熱が三日以上続く、または一度下がった熱がまた上がった
  • 水分がまったく体に留まらない。半日以上尿が出ていない
  • 便に血が混じる、下痢が一週間を越えた、嘔吐が二日を越えた
  • 傷の痛みが二日目から増えてきた、赤みが広がる、膿が出る
  • 尿のときに痛む、背中や脇腹が痛む、同時に熱がある
  • 激しい頭痛に、首の硬さや光がつらい感じが加わる
  • めまいで立てない、歩くとふらつく
  • 常用薬を切らした、または飲み始めてから体調が変わった
  • 高齢の方、小さな子ども、妊娠中、持病のある方。この場合はどの症状でもしきい値を下げてください

箱の三つめ:様子を見てよいもの

軽い症状の多くはここに入ります。ただし「様子を見る」は「忘れる」とは違います。何を見るか決めておくのが条件です。

  • 熱のない鼻水、のどの痛み、軽い咳。悪化しないかを一日単位で見る
  • 一日で収まりそうな軽い下痢。水分が取れていて、熱も血もない
  • 軽い擦り傷。洗って覆い、痛みが減っていく流れかどうかを見る
  • 乗り物での酔い、時差による不調、暑さでの軽い疲れ。涼しい場所と水分で戻るか
  • 虫刺され。赤みが広がらず、熱が出ないか

三つめの箱に置くときは、期限を決めてください。この症状が三日続いたら二つめの箱に移す、というように。期限のない様子見。それが五日目まで放置につながります。

ベトナムの救急の仕組み、現実的なところ

緊急の電話番号は115です。ただし、日本の救急と同じ速度や体制を期待しないほうが現実的です。地域によって事情が違います。都市部では、タクシーや配車アプリで最寄りの病院へ向かうほうが早い場面があります。ホテルに滞在しているなら、フロントに相談してください。搬送の手配に慣れていることが多い。

病院は公立と私立に分かれます。公立の大きな病院は専門の幅と重症対応の力があり、ベトナムで重い状態になったときの行き先はここになります。一方で混雑します。外国語での説明は限られます。私立や国際クリニックは、言葉と待ち時間の面で動きやすい代わりに、できる処置の範囲に差があります。

どちらに行くにしても、パスポート、保険証券の情報、常用薬の一覧を持っていってください。支払いの仕組みが日本と違います。保険会社のアシスタンス窓口に連絡しておくと、手続きが進みやすくなります。

往診でできること、できないこと

滞在先での診察に向くのは、二つめと三つめの箱です。つらいが安定している状態。発熱、腹の症状、脱水、傷の処置、常用薬の相談。すでに横になっている場所で診てもらえるのは、体調の悪い人にとって実質的な利点です。

向かないのは、一つめの箱です。それと、画像診断、入院、手術、専門科の判断が必要な場合。診察した医療者が病院へ行くべきだと言ったなら、それは診察の失敗ではありません。判断がついたということです。英文の紹介状を依頼してください。

私どもの体制についても書いておきます。ホイアン、フエ、ニャチャン、ホーチミン、ハノイなど各地域には、その土地に暮らし、医療従事者の資格を持つ医師・看護師がおり、ダナンから人を向かわせることはございません。ダナン、ホイアン、ホーチミン、ハノイ、クアンビン(ドンホイ)には、ご来院いただける診療所もございます。それでも交通や天候で時間は前後いたしますので、現実的な時間の幅をお伝えいたしますし、お待ちいただけない状態であれば、お待ちにならないよう申し上げます。

電話で最初に伝えること

  • 何が、いつから始まったか。時刻まで言えると強い
  • 今いちばんつらいこと一つ
  • 一つめの箱の症状があるかどうか
  • 年齢、妊娠の有無、持病、飲んでいる薬
  • 建物名、階、部屋番号。これが伝わらないことが遅れの最大の原因です
  • どの言語で話したいか

迷ったときの原則

判断がつかないなら、まず見てもらってください。待合室で四時間過ごして、入院の必要はないと言われる。短い旅程の使い方としては惜しい。しかし逆方向の間違いのほうが高くつきます。

そして、自分の違和感は根拠として扱ってかまいません。症状の名前は言えなくていい。普段と明らかに違うという感覚は、それ自体が受診の理由になります。

参考文献

  • WHO — Emergency care: https://www.who.int/health-topics/emergency-care
  • 外務省 海外安全ホームページ: https://www.anzen.mofa.go.jp/
  • 厚生労働省検疫所 FORTH: https://www.forth.go.jp/
呼吸が苦しい、胸が痛む、出血が多い、意識がはっきりしない、脳卒中が疑われるなど緊急の場合は、どうか往診をお待ちにならず、まず115へお電話いただくか、最寄りの病院へ向かってください。

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